知的な障害に配慮した環境デザイン

第10回 開口部、屋外空間のバリアフリー

 

 10回にわたってご紹介してきました知的障害のある人のためのバリアフリーデザインも今回で終わりです。最終回は開口部、屋外空間についてです。

開口部(窓・出入り口)のバリアフリー

(1)割れにくい窓ガラス

 パニック時に窓ガラスの破損によるけがを防ぐため、強化ガラスに飛散防止フィルムを貼ったものやポリカーボネイト等強度の高いものを使用して危険を回避することを第一に考えます。

(2)ドアの開閉による破損やけがを防ぐ

 ドアの開閉時に力の加減がわからなくて思い切りドアを閉めて壊してしまったり、手をはさんだりすることがあります。対応策としては扉の閉じる速度を調整できるドアクローザーをつけ、ドアの端にゴムをつけて衝撃を吸収する方法があります。

(3)出入り口がすぐに開かない工夫

 知らない間に外出してしまうことを避けたいときには、自動ドアの場合は内側の少しわかりにくい場所に開ボタンを設けてすぐに出られない工夫をすることも有効です。クレセントを上下2か所につけ、同時に回さないと開かないような工夫も考えられます。

 

屋外空間のバリアフリー

 敷地内の屋外空間には、門から建物へのアプローチ、駐車場、中庭などがあります。屋外でくつろげる場所は室内では味わえない季節や気候を体感するためにとても重要です。

(1)歩道の確保

 敷地の入口から玄関までの経路に駐車場がある場合は、床の仕上げを変えたり歩道と駐車場を植え込みで仕切るなど、歩行空間をわかりやすくします。

 

(2)見守りやすく安全な屋外空間

 屋外空間に崖や池などの危険な個所がある場合は近寄れないよう柵等を設け、マンホールや浄化槽の蓋は開けられないよう固定しておきます。植栽は毒性のないものを選び、室内からの死角のない見守りやすく安全な屋外空間を確保し、自由に出入りできる環境をつくりましょう。柵で囲うときはデザインに配慮し、閉じ込められているという印象を与えないことが大切です。


建物から自由に出られる中庭は「保護された空間」として安全性も高い

(3)五感を刺激する空間

 花の香りや風の感触など戸外は五感を刺激する空間です。香りのよい花木、風にそよぎ秋に紅葉する木、さまざまな効用のあるハーブ等を植えてみましょう。玄関先や陽だまりに屋外用のテーブルや椅子を置いて休息できる場所をつくり、さらに簡単な園芸作業ができる棚や畑を設けると心地よい刺激を受ける活動の空間として利用できます。
 今回のシリーズでは主に建築空間の各部分別にどのような工夫が考えられるかについて見てきましたが、これ以外にも音や光などの環境に関するバリアフリー、サインなどのコミュニケーションに関するバリアフリーもあります。知的障害のある人がより生活しやすい環境をソフト面だけでなくハード面でも考えていくことが大切です。

 


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