知的な障害に配慮した環境デザイン

第3回 トイレのバリアフリー(1)

 

 トイレは、異物を流す、汚す、中にこもるなどもっともトラブルの多い場所です。プライベートな空間だけに自主的に行動できるような配慮が必要です。

 

(1)異物を詰まらせないための工夫

トイレットペーパーを使いすぎない

 水洗トイレでは、多量のトイレットペーパーを流して詰まらせてしまうことがよくあります。ペーパーをどれくらい使うのかという判断が難しく、「適当な長さに切る」ことができなくて多量に流してしまうというケースに対しては、テープで目印をつけて示したり、トイレの壁などに一定の長さを示し、「一回分を三回使う」というようにはっきり目で見て測る方法が考えられます。

流すことを禁止するサイン

 トイレットペーパーの芯にはじまり、身のまわりのありとあらゆる物を流してしまうというケースについては、流すことへのこだわりや興味が大きいと思われます。芯のないタイプのトイレットペーパーを使うことも一つの方法でしょう。判断を促す方法として、「物を流してはいけません」という禁止のサインを示すことも考えられます。文字ではなくイラストで目につきやすい場所に貼るようにします。サインの意味を繰り返し伝え、理解できるようになればほかの場所においても応用できます。(写真1)


写真1 「流してはいけません」という禁止のサイン

 

水の流れる様子を見えないようにする

 洋式便器で後ろのレバーを操作して水を流すタイプのものは、水音とともに勢いよく水が流れ瞬時に物が消えてしまうさまを目前に見ることとなります。その様子に興味をもって繰り返し身近なものを流していると思われる場合は、座った状態のままでボタンを操作するタイプのものが望ましいでしょう。便器の正面の壁にトイレの使用方法を書いたイラストなどを貼っておけば、「用便が終われば水を流して鍵をあけて出る」という行為を促すことになります。

楽しみを見つける

 トイレの水や音の刺激に対する興味があって物を流すという行為をしている場合には、日常生活のなかで本人が興味をもったり楽しんだりできることがどれくらいあるかを再確認してみる必要もあるでしょう。

取り出し口のある洋便器

 対処療法ですが、詰まった異物を取り出しやすい便器も考案されています。洋便器の前部にステンレスのふたがついておりここから詰まった物を取り出すことができます。取り出し口を便器の横側に取りつけて見えにくくしているタイプのものもあり、便器と壁の間に余裕がある場合は横付け型を選ぶほうがよいでしょう。 (写真2)

 


写真2 取り出し口のある便器。目立たないよう横についたタイプもある。 

 


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