知的な障害に配慮した環境デザイン

第4回 トイレのバリアフリー(2)

 

 前回に引き続きトイレについてお話します。

 

(2)汚さないための工夫

立つ位置を示す足型マーク

便器の周囲を汚す原因としては、男子小便器では立つ位置が離れすぎてまわりにこぼしてしまう、和式便器ではしゃがむ位置が後ろすぎて便が後ろに落ちてしまうことが考えられます。落ちた便が気になってスリッパで床にこすりつけ大変な問題行動となってしまうこともあります。 これに対しては、床に足型マークをつけて、立つ位置を示すことによりまわりを汚すことが少なくなったという報告があります。小学校のトイレの改善例でも、和式便器に足型マークをつけることで、便で後ろを汚さなくなった例があります。足型マークをつけるアイデアは、比較的簡単にとり入れることができるため、試してみてはいかがでしょうか。

トイレの立つ位置を示す足型マーク
トイレの立つ位置を示す足型マーク

 

便器の中に印をつける

便器のまわりの汚れはどこの国でも共通の悩みのようです。ドイツの衛生陶器のカタログで、小便器の中にハエが止まっている写真があります。実は本物のように精巧なイラストなのです。このイラストをつけただけで便器のまわりの汚れ具合がぐっと減ったという実験結果もあるそうです。ハエをめがけて小便をするためでしょう。おもしろい心理作戦ですが、単に赤や黒の印でも効果はあるのではないでしょうか。

(3)使用方法をイラストで示す

トイレの使用方法を教えるのはとても大変です。幼児用の歯磨きや着替えのビデオはありますが排泄のビデオはあまりありません。言葉で説明するよりも絵で書いたり兄弟の写真をとって示すとわかりやすいようです。 トイレのしつけをするのは母親が多いため、女性の知的障害者は比較的きちんと処理できるようですが、男性のなかには小便をするにもズボンから下着まで全部下ろしてしまったり、洋式便器の中蓋を上げずにしてしまう人もいます。トイレの使用方法についてイラストでわかりやすく示したものをつくり、それを見ながらトイレの使い方を指導するなど、だれにでもわかるようなマニュアル化が望まれます。

(4)外から開けられる鍵

トイレに閉じこもってなかなか出てこないことがよくあります。原因としては、次にすることがわからなくて混乱している、一人になれる場所なので落ち着く、などが考えられます。混乱しているようであれば、外から「〜しましょう」と呼びかけたり、トイレに入るときに次にすることを示すカードや写真を持って入り、次の行動を促すなどの対応が考えられます。長時間出てこないときのために、鍵は外からも開くタイプのものにしておくとよいでしょう。


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