知的な障害に配慮した環境デザイン

第7回 台所・食堂のバリアフリー

 

 台所や厨房については、包丁や火の扱いに対する不安がありますが、最近ではカット野菜や半調理品も多く、これらをうまく利用して電子レンジで火を使わずに調理をすることもできます。危険な道具は鍵をかけた戸棚にしまうなど安全に配慮したうえで、日常生活のなかで調理に関わる場面をつくっていくことを考えたいものです。

(1)電磁調理器や食器洗い機の活用

 電磁調理器は火が出ないため安全です。電気容量が大きいので新しく取り付けるときには工事が必要な場合もあります。コンセント式の電磁調理器は場所を選ばず気軽に使えて便利です。
 調理は難しい人でも食器洗いや後かたづけはできます。食器を洗ってもらってもきれいに洗えているかどうかの見直しが必要でよけいに手間がかかるため、ついついスタッフや家族が洗っているところも多いと思いますが、食器洗い機を使用することにより、ざっと洗って機械に入れるだけできれいになるため、手助けを必要とせず一人で作業を最後まででき、本人も自信がつきます。自立を支援する機器として取り入れてはいかがでしょう。

(2)料理のマニュアルとわかりやすい調理器具

 スウェーデンの補助器具センターでは、料理の手順を視覚的にわかりやすく写真で示したマニュアルが開発され、使用する調理器具も色で分けたりテープで印をつけるなど、認知障害のある人の自立を支援する工夫が紹介されています。たとえばスパゲッティをつくるには、まずゆでる鍋とザルの写真を見て道具を用意します。スパゲティの袋にはゆで時間を示したタイマーの絵を貼っておき、その絵を見て同じようにタイマーをセットします。このように用意する材料、調理器具、仕上がりまでの手順が写真によって具体的に示されています。調理器具はできるだけ種類を少なくし、置く場所を決めて絵を貼るなど収納にもわかりやすい工夫が必要です。

 


スパゲティをゆでる時間をタイマーの絵で示したもの
(スウェーデン)

(3)頑丈なつくりの食卓用木製椅子

 食事の時間は多くの人にとってもっとも楽しみな時間のひとつです。ゆっくり落ち着いて食事をとることが大切ですが、食堂の椅子はどのようなものを使っているでしょうか。
  パイプ椅子、丸椅子、折りたたみ椅子などを使っているところもあるようです。体格のよい人や、体を常に前後にゆする癖のある人の場合は、簡易なものではすぐに壊れてしまいます。ゆったりと食事をするには、頑丈な作りの木の椅子がふさわしいといえます。

(4)ひじ付椅子や一人用のテーブル

 食事中歩き回る人には、ひじ付椅子に座ってもらうことで食事に集中できるようになったというケースもあります。また、みんなと同じテーブルで食事ができない人には一人用のテーブルを設けるなど、一人ひとりの状況に応じて楽しく食事ができる空間をつくることが大切です。


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