知的な障害に配慮した環境デザイン

第8回 居室のバリアフリー

 

 施設の調査によると、居室の中でのトラブルの多くは、一つの部屋を複数の人で利用していることが原因で起こっています。盗った、盗られた、テレビやラジオの音がうるさい、布団の端が重なった、いびきが気になる、窓の開閉など、常に他人に行動を制約されるため、もっともリラックスできる場所であるべき居室でさまざまな問題に悩まされています。

(1)相部屋から個室へ

 高齢者の施設における調査において、プライバシーと個人の領域が守られてはじめて他人とのコミュニケーションがスムーズに行えることが指摘されています。障害者の居室も自立を促し人権を尊重するうえで早急な個室化が望まれます。

 

(2)自分で選ぶインテリア

 スウェーデンでは重度重複障害者でも個室をもち、壁紙やカーテン、家具、照明器具に至るまで個人の好みに合わせてコーディネイトされています。自分で選べる場合は自分で、意思表示ができない場合は親やスタッフが代わって選びます。そして歳とともにその年齢にふさわしい内装に変えていくそうです。障害者であっても一人ひとりの人格を大切にした考え方が徹底されています。
  日本では畳敷きの和室が主でしたが、今後は高齢化や生活スタイルの変化により洋室にベッドの生活が中心になってくると思われます。畳は不潔になりやすいという点からも洋室のほうが望ましいといえるでしょう。洋室にする場合は、自分が座る椅子と来客用の椅子を合わせ最低三脚の椅子を用意することをお勧めします。自分の部屋に来客を招き入れることは自立と自尊心を養うために大切なことです。

 


スウェーデンのグループホームの個室。利用者の好みに合わせてコーディネイトされています。

(3)わかりやすい収納

 季節に合わせて衣服を選んだり、一人で着替えをすることが難しい人には、衣類収納ケースなどに「下着」「靴下」「上着」「ズボン」などの文字と絵や写真を組み合わせたラベルをつけ、わかりやすい工夫をします。着る服をセットし着替えの順に衣服を重ねておけば手助けがなくても着替えができます。身のまわりの物はなるべく種類を少なくし、使用する場所の近くに収納しラベルなどで示して整理整頓がしやすい環境をつくります。

(4)リラクゼーションの空間

 たとえ重度の知的障害があっても、心地よさは健常者と同じように感じています。パニックを起こしたときに壁を壊したり、叩いたりする行為を押さえるために何もない頑丈な部屋をつくるのでなく、心地よい空間にいい香りやリラックスできる音楽が流れる場所をつくってみましょう。安全な空間や興味を引く仕掛けなど、十分考慮された適切な環境がよい影響を与えると確信します。


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