知的な障害に配慮した環境デザイン

第9回 廊下・階段のバリアフリー

 

 廊下は各室をつなぐ空間ですが、人と出会う場所でもあり余暇の時間を過ごす場所として考えることもできます。安全確保と施設保全のための配慮とともにストレスをため込まない空間をつくることが重要です。

(1)衝撃を緩和する素材を用いる

 壁がコンクリートなどの硬い素材でできている場合は、コーナー部分や腰壁にクッション材やベニヤ板を貼るなど衝撃を緩和する素材を用いてけがをしないような対応が必要です。

(2)見通しのよい構造

 見通しのきかない廊下は出会い頭にぶつかることがあります。コーナー部分を広げ、角をとるなど見通しをよくする工夫が必要です。

 

(3)スイッチに対するこだわりへの対応

 ボタンやスイッチなどに関心をもち、スイッチが全部同じ向きでないと気がすまない、通るたびにつけたり消したりするなどのこだわりがみられる場合があります。一過性のことも多く、プレートにその人が嫌いな模様をつけたり輪ゴムをピンで留めてスイッチにさわれないようにしておくと、しばらくたってはずした後もさわらなくなったという例もあります。スイッチプレートを外したり壊したりするケースについては、はめ込み式のプレートではなく、ねじで止めるステンレスのタイプがあります。さわって危険という場合は、カバー付きで簡易鍵がかかるものもあります。
  しかし、スイッチに対するこだわりがなぜ起きるかについては、表情のない壁面にスイッチだけが目につくため注意が向いてしまうということも考えられます。一様にさわれなくするだけでなく、タペストリーやさまざまな感触のさわれるオブジェを飾るなど興味を引くものを増やす方法もあるでしょう。

左:廊下に飾られた様々なオブジェ(スウェーデン)
スイッチをむやみにさわらないための工夫 (中:苦手な模様を貼る 右:輪ゴムをピンで取り付ける)

 

(4)アルコーブや窓を設け心地良い空間をつくる

 まっすぐに延々と続く廊下は自分の位置を認識することが難しくよくありません。所々にアルコーブを設けて小人数で団らんする空間をつくったり、窓を設けて違う景色を楽しめる場所をとるなど、機能面だけでなく空間に変化をもたせ気持ちの安らぐ環境をつくるよう心がけたいものです。

(5)色によって段差を表示する

 注意不足や段差に対する認識がないためにちょっとした段差で転倒することがあります。色テープを貼って段差を目立たせる、段差のある面を色分けして注意を促すなどの配慮である程度防ぐことができます。

(6)手すりの設置と連続性

 階段は緩やかな勾配とし(ハートビル法では蹴上げ寸法一六センチメートル以下、踏み面寸法三〇センチメートル以上)、両側に手すりをつけます。階段の途中で手すりが終わっているとそこで立ち止まってしまうため、折り返し階段などでは手すりを切らず連続して設けるようにしましょう。 

 


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