身体・知的障害者通所授産施設 里の風

設計趣旨


■建築の目的

この施設は、八尾市内で3つの小規模作業所を運営する「ポポロの会」が、障害をもつ人が家族の支えがなくても地域で生活を続けていける自立の拠点施設として、また地域と「共生・共働」できる施設を目指して計画された。

■立地条件

敷地は生駒山の裾に近い田畑の点在する地域にあり、西側と南側を小学校に隣接している。


■設計コンセプト

1.身体障害・知的障害に配慮した建築

車椅子での利用を考慮した広さとフラットな床。わかりやすい動線と部屋の配置。さまざまなタイプのトイレ。五感を刺激するおしゃれで心地良い建物。

2. 地域と一体となった開かれた施設

地域の人が利用できるレストランや自家製ハーブで作ったケーキを販売するショップ。周辺の休耕田を利用して通所者と地域の人が共に働くなど、それぞれが役割を持って暮らしていけるコミュニティ作り。

3.環境との共生

太陽エネルギーの利用、水の循環再利用、国産木材の使用、敷地と建物の緑化など。

 

 

■異なる表情を持つ中間域ゾーン

障害者の授産施設として、レストラン、ケーキショップ、手作り工房の3つのエリアを設け、管理ゾーンと屋外ゾーンとの中間域にこれらを配置した。 3つのエリアが直接外部とつながり、それぞれ異なった表情を見せることで賑わいや親しみやすさを持たせた。各エリアはアルコーブを持つ廊下によって緩やかにつながっており、建物の中に取り込んだ路地空間を通して内外空間の一体感と開放感をより高めている。



手作り工房


食堂


ケーキショップ




■天井高さと床仕上げで空間を認識する

建物全体は5段階に異なる天井高さで構成している。3つのエリアのつなぎ部分を低く押さえて空間に変化を持たせ、2階のショートステイ部分は住宅スケールに設定した。また、エリア毎に異なった床の仕上げとし、目の不自由な利用者が天井高さや足ざわりの変化で空間を認識できるよう意図した。




玄関



■ 木造建築のようなあたたかさ

中間域ゾーンの外壁は、構造制限を受けない木製建具で仕上げることにより、木造建築のようなやさしくあたたかな雰囲気にしつらえた。また、室内に出てくる鉄骨はφ165mmの丸柱で構成し木質との調和を図っている。

■OMソーラーシステム

手作り工房のエリアは利用者が一番長く過ごす場所であることから、冬場の冷え込みを防ぐためOMソーラーによる暖房を取り入れた。また、デイサービス機能を持たせるために設けた浴室の給湯にも利用している。

■屋上緑化と2重屋根

夏の暑さを和らげるため、2階部分の屋根は空気層を挟んだ軽量な2重屋根とし、1階部分は2階からの眺望を考慮し芝生を植えて屋上緑化とした。

■雨水循環システム

雨水は建物の前を流れる人工のせせらぎに集められ敷地奥のビオトープに流れ込む。ろ過された水は地下貯留層に溜められ、ソーラー発電による動力ポンプで循環し、屋上緑化やハーブガーデンの灌水に利用している。 エントランスには「里の風エコロジー計画」を図式化したサインを掲げ、施設利用者に環境への取り組みをわかりやすく示している。



里の風のエコロジー計画

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