障害児通園施設 こどもデイケアいずみ
老人デイサービスセンター ネクストりぶりー

設計コンセプト




■建築の目的

この建物は、児童養護施設と高齢者のケアハウスを運営する社会福祉法人三ケ山学園が、就学前の在宅障害児の通園施設「こどもデイケアいずみ」と、自立生活が難しくなったお年寄りの在宅支援の場としての老人デイサービスセンター「ネクストりぶりー」の合築施設として計画された。

「こどもデイケアいずみ」は、在宅で常時介護や療育を必要とする障害児に対し、専門的かつ柔軟なサービスを供給する泉州地域の拠点施設となることを目的としている。

■立地条件

施設が位置する貝塚市は大阪府の南部にあり、なだらかな丘陵に春先には桃や梅の花が咲くのどかな里山の風情だが、都市計画道路が敷地中央を縦断し将来的には住宅地になることが見込まれている地域である。


■建築計画

1階は子どもが屋外に出やすいよう指導室と遊戯室を配し、2階に機能訓練室、事務室、診療所、3階は老人デイサービスセンターの構成とし、子どもとお年寄りの動線が重ならないよう配慮した。

通ってくる子どもたちが、もうひとつの自分の家と親しみを感じられるよう、各指導室は独立した瓦屋根をつけて雁行型に配置し、それぞれ園庭から自分の部屋に直接入るプランとした。また、遊戯室は各指導室と廊下を介さず直接つなげることにより、子どもを見守りつつ自由に遊ばせられる空間を意図した。

3階のデイサービスは南面のバルコニーから園庭で遊ぶ子どもたちの姿を見ることができる。


■意匠・感覚を刺激する空間


外で自由に遊べない子どもたちにとって遊戯室が屋外空間の代わりになる。トップライトの柔らかな光が浮かび上がらせる淡いブルーの壁は空の色を表し、丸窓のあるグリーンの壁は木々の色を表す。

体を思うように動かせない子どもたちでも、わずかに姿勢をずらしたり視線を変えるだけで空間の変化を感じ、時間とともに光が変化する様を感じられるよう天井や壁をデザインしている。 直接触れるところはできるだけあたたかな感触の素材を選んだ。知的な障害のある子どもでも、感性の部分は障害を受けていない。むしろ豊かな感性を持っている。光や色や素材は場所の手がかりとなって子どもが自分の好きな場所を探し出す。

2階には、五感を刺激する環境の中で、スタッフが子どもとコミュニケーションを図りながら指導をする空間としてスヌーズレンルームを設けている。障害児の施設における豊かな環境は指導員の力と一体となって子どもたちを育てていく。



■ディティール

衝突や転倒などの突発的な事故に対しては安全を確保するため窓やドアのガラスはポリカーボネイトや強化ガラスを使用し、床や腰壁は衝撃を和らげるような素材を使用している。

ドアは向こうに誰かが寝転がっていてもわかるようなデザインとし、屋内外の出隅部分は面取りをし、建物の出入り口はすべて段差をなくしている。





平面図


遊戯室から指導室を見る。直接触れるところはあたたかな感触の素材とし、トップライトからの光や多彩な色づかいにより、子供たちが自分の好きな場所を探し出す手がかりとする。


遊戯室に設けた小さな家



2階のスヌーズレン(五感を心地良く刺激する環境設定)ルームを見る


雨天時の「こどもデイケアいずみ」の玄関内部。外部からは自動、内部からは壁のボタンを押して開ける。


園庭から自分の部屋に直接入る









指導室平面図







指導室断面図